タイ王国

タイは、人口6500万人であり、日本企業の投資や進出が非常
に多いのが特徴です。タイに投資をしている企業の6割以上が
日本企業であり、4000社以上の日本企業が進出しているとい
うデータもあります。日本企業は、タイを製造拠点にして東南
アジア市場に製品を売り込んでいます。
タイは、非常に日本人が接しやすい国です。特にタイの若者
は、幼い頃から日本のテレビ番組やマンガで育っており、超親日であると言えます。このた
め、日本企業にとって参入しやすい市場であると言えます。
一方、タイにおける模倣品は、その多くが中国やマレーシアから輸入・密輸されたものです。
日本企業の商標をそのまま使用(デッドコピー)したり、類似する商標を使用した模倣品が多
く、外国人観光客が訪れる繁華街などに出回っています。

特許・実用新案

インドネシアには、特許と実用新案(小特許)があります。
特許は、日本の特許とほぼ同一の制度内容になっていますが、審査が非常に遅い点に注意が必要です。
特許の審査は、待っているだけでは一向に進みません。修正実態審査(日本などの先進国が行
った審査情報を提出して審査に利用してもらう制度)を利用するのが一般的です。日本などで
特許になっていれば、タイでもそのまま特許になる場合が殆どです。
しかし、他国の審査情報を提出した場合であっても、6~8年経過しても審査が開始されないこともあります。
実用新案は、産業上利用性と新規性についてのみが審査され、進歩性については審査されませ
ん。特許と実用新案を同日出願することはできません。
特許に比べて早期に権利化できるので、日常品やライフサイクルが短いものについては、特許
よりも実用新案を利用する方がメリットがあると思われます。

意匠・商標

タイの意匠は、特許法により保護されます。意匠の出願件数は、急激に増加しており、その殆
どはタイ国内からの出願です。
タイの意匠の審査では、他国審査情報が利用されています。日本の特許庁は、日本における審
査結果をタイ知的財産局に提供しています。それでも、意匠の審査は遅延しています。意匠の
存続期間が出願から10年なので、審査の遅延により実質的保護期間が短くなっています。
もっとも、日本製品の外観をそのままコピーした模倣品も数多く存在しますので、意匠の利用
価値はまだまだ高いと考えます。
商標は、日本の商標とほぼ同一の制度内容です。タイでは、日本企業の商標をそのまま使用したり、類似する商標を使用した模倣品が多くなっています。

例えば、「スターバックスコーヒー」のロゴマークに酷似した「スターバンコーヒー」を使っているバンコクの屋台のカフェが訴えられた事件があります。
このため、タイ市場に参入・進出する際には、必ずタイへの商標出願を済ませておくことが必
要です。

 

権利行使

タイにおける知的財産権の行使は、刑事的手段による場合がほとんどです。その半数以上は、
商標権侵害事件です。
民事裁判は、時間も費用も掛かるなどデメリットが多いと言えます。
関税における水際取締(輸入差止)は、商標・著作権が対象であり、特許・意匠は対象とされ
ていません。また、陸路での取締は厳しいものの、水路・空路での取締は甘く、模倣品が流入
してしまっているようです。
このため、最上流の中国から模倣品を輸出させない措置が重要です。