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マレーシアは、人口3000万人であり、経済水準が先進国レベ
ルに近づいています。マレーシアは、東南アジアにおける家
電・エレクトロニクスの一大輸出拠点であり、中国へ電子部品
を供給するサプライチェーンの中核的存在にもなっています。
中国への投資リスクの高まりに伴って、外国からマレーシアへ
の投資が今後ますます増加することが予想されています。
マレーシアは、外資参入への規制が厳しくないことが、企業進出の大きなメリットです。法人設立を日本人単独ででき、参入事業への規制も殆どなく、自由に事業を行えます。さらに、日本とマレーシア間の事業資金、個人資産の送金規制もありません。日本に対する好感度も高いというメリットもあります。
一方、マレーシアにおける模倣品は、その多くが中国から輸入・密輸されたものです。マレーシアは、中国から世界に拡散する模倣品の中継地になっています。
マレーシアに持ち込まれた自動車部品や携帯電話などの模倣品は、現地で組み立てられた後、市場に流通されています。
最近は、日本企業の商標を、日本企業が製造・販売していない商品に使用する行為も発見されています。
マレーシアには、特許と実用新案(小特許)があります。
特許は、日本の特許とほぼ同一の制度内容になっています。修正実態審査(日本などの先進国が行った審査情報を提出して審査に利用してもらう制度)を利用するのが一般的です。日本などで特許になっていれば、マレーシアでもそのまま特許になります。
実用新案は、特許と同じように審査されますが、進歩性の審査がありません。ただし、クレームが一つでなければならない点に留意が必要です。
マレーシアの意匠は、存続期間が最長で25年である点が特徴です。存続期間は原則5年です
が、5年延長の申請を4回できるようになっています。
日本製品の外観をそのままコピーした模倣品も数多く、存続期間が長いので、意匠の利用価値
は高いと考えます。
商標は、日本の商標とほぼ同一の制度内容です。 マレーシアでもは、日本企業の商標をそのまま使用したり、類似する商標を使用した模倣品が多い。
このため、マレーシア市場に参入・進出する際には、必ずマレーシアへの商標出願を済ませて
おくことが必要です。
マレーシアにおける知的財産権の行使は、刑事的手段が多く、その半数以上は商標権侵害事件
です。
民事裁判や税関も利用されています。民事訴訟は、差止権限を持つ高等裁判所に提起されるの
が一般的です。
商標権侵害訴訟では、4割程度が海外の商標権者によるものです。結審まで商標で2~3年、
特許で2年ほどかかっています。訴訟になった場合、マレーシア国民に特に有利な判断が下さ
れるということはないようです。
マレーシアは、模倣品輸送の中継地にもなっていますので、最上流の中国での関税取締が重要
な措置になります。